保健福祉事務所の統合・支所化に反対します。

 提案・声明・見解

声明

 神奈川県は、2013年2月、緊急財政対策のなかで現在ある保健福祉事務所の半数を支所化する方針を打ち出しました。

 6月に具体的な内容をまとめ、9月に議会に説明し、12月に条例化を図るとしています。

 支所の中身はこれから具体的な検討が行われるとのことです。この3月、とってつけたように各所の窓口利用者数の調査が行われていますが、まさに強引な先に結論ありきの手法といえます。

 これまでのこうした機関の見直しが「県民サービスを低下させない」「より効率的な」などとの理屈をつけて行われてきましたが、今回の支所化はどのような体制を取ろうとも県民サービスの低下や県の本来県民に果たすべき責任の放棄につながるものであることを指摘せざるを得ません。

 保健福祉事務所は、公衆衛生の第一線機関として位置づけられ、様々な専門職種の連携のもとで、地域の保健医療、福祉の発展向上を図る役割を担っています。仕事の中身は実に多岐にわたっており、特に近年は、健康危機管理が叫ばれる中でこうした課題に即応した仕事も担うようになってきています。

 公衆の生(いのち)を衛(まも)ることは保健福祉事務所の根源的な存在使命です。強毒性の新型インフルエンザのパンデミックは必ず起こるとされていますし、日常起こる感染症や食中毒の対応・相談などあらゆる事態に備えておかなければなりません。

 日常業務も社会情勢を反映して、複雑、困難な課題が、公衆衛生、福祉分野で次々発生する中で、いま求められていることは体制の強化を図ることであり、どう理屈をつけても体制の弱体化につながる支所化などは選択すべきことではありません。

 県民から保健福祉事務所に求められる組織上の期待は「現地性」(近くにある・・いつでも相談に行ける)「即応性」(すぐ対応してもらえる)「総合性」(いろいろな職種の総合力が発揮される)に他なりません。たとえば、ノロウイルスなどの感染症が施設で発生したときにすぐ感染症部門と食品衛生部門が一緒になって適切な感染拡大のアドバイスを行っていますがこうしたことひとつとっても、現地性・即応性・総合性をもつ組織が公衆衛生活動には不可欠と言えます。

 私たちは、県が県民に対する責任を自ら放棄する「保健福祉事務所の半数の支所化」という方針を撤回し保健福祉事務所の体制強化に向けてすすむことを強く求めるものです。

 また、自らの仕事の誇りをかけて、さまざまな県民諸団体とともにこの方針の撤回に向け運動する決意を表明します。

2013年3月14日
神奈川県職員労働組合保健福祉部会

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