県政散歩(1717号)
毎年のことながら、年末年始は宝くじ、初詣、初夢など先行きの運勢にかかわる諸々の話題が口の端にのぼる。もちろん、思いつめて結果に期待を寄せるわけでなく、多くはぼんやりとした希望を思い描くだけである。
そんな頃合いに今回の総選挙となった。過去最低となった59・32%の投票率。期待しては裏切られてきた政治へのあきらめ、多党化による投票先選択の戸惑い、成長が見込めぬ社会に広がる無関心など、要因は様々に指摘されている。さらに56%の死票率、1票の格差による選挙無効の提訴といった事態が生じるようでは、民意を実現させる制度の根幹が揺らいでいるといえまいか。
ところで、選挙制度にはパラドックスがあることが数学上の証明によって指摘されている。人々がもっとも望まない結果も事実として選択されている。詳細は省くが「アローの不可能性定理」によると、多数決原理による完全に民主的な意思決定は不可能なのだという。
今回の選挙では、憲法や原発、社会保障など大きなテーマも争点となった。だが選挙制度の限界により、人々のもっとも望まない結果、期待に反する結果に導かれてしまうとしたら救いがない。いや、選挙制度は困難をはらむからこそ、あきらめない運動の継続に意義があると思いたい。
2013年4月13日