県政散歩(1715号)


 今年の賃金確定をめぐる交渉では、「言葉」というものの使われ方をあらためて考えさせられた。プロパガンダとは、ある政治的意図のもとに主義や思想を強調する宣伝をいうが、神奈川臨調の独断、緊急財政対策がメディアを使って大量に流布され、交渉の背景となった。

 給与減額をはじめマイナス提案理由の多くが具体的な理由を欠く緊急財政対策の一点張り。だが財政危機が税財政構造に起因するなら、緊急に解決する問題ではない。知事との意見交換会で横浜市長が「いまさら…違和感がある」と言ったという。要するに財政状況改善とは別の「何か」を緊急に実現させたいということなのだろう。

 「マグネット」という言葉もあやしい。県のホームページを検索すると、至るところ、どうにでも意味が取れるように使われていることがわかる。単純な言葉で本質を隠そうとする意図が透けて見える。

 一方、詳しく語ることでかえって物事を過小に見せるという手法も行われている。県有施設の見直しで取り上げられた県立図書館の事例である。「貸出・閲覧機能の廃止」が方針として出された。これだけでも大きな反響があったが、実は「図書館の廃止」を遠回しに言っているのである。

 ちなみに知事には「情報から真実をすくい取る力」という著書がある。今こそ必読の本であろう。

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