緊急財政対策による試験研究機関の廃止・独法化に反対する
県当局は、いわゆる神奈川臨調の最終意見を受け、緊急財政対策を発表し、県有施設の原則全廃、補助金や負担金の廃止・削減を打ち出しました。
本年1月の第1回の神奈川臨調では、200ページを越える資料が配布されましたが、議論の時間は3時間程度だったと聞きます。「時間がないので個別の必要性については議論しない」という発言があったとも聞きますが、そうした中で、ここまで重大な全体的方針を出すということが、知事の言われる「スピード感」なのでしょうか。
廃止とされた環境科学センターも、独法化とされた産業技術センターも、それぞれに存立の経緯と基盤を持ち、培ってきた技術力を生かして県民サービスの向上に努めてきました。現副知事主導によるリストラ前提で推し進められた「機関評価」以降、卑屈ともいえる管理強化により、本来業務の時間が奪われ、職場の空気は硬直化してきました。
そうした中においても、両センターは、県民を不安に陥れたダイオキシンや放射能の問題、中小の工場が抱える技術的問題から先端技術の開発にまで、真摯に取り組んで成果を挙げてきました。民間から登用された産技Cの所長でさえ、機関評価に対する機関長の所見のなかで、産業技術センターの技術力の高さを認めたうえで、当面は県機関体制を継続することが得策との判断を示されています。
県政運営に限らず、何事にも当てはまることですが、スピード感が必要な場合と、時間をかけて醸成した方がよい場合があるはずです。近年、ないがしろにされ続けた感がある神奈川県における労使間の申し合わせの中に、組織再編に当たっては、職員参加の原則を徹底すること、というのがあります。環境科学センター、産業技術センターともに、廃止、独法化の方針が示されて以来、何の検討の要請も、話し合いの申し入れもないと聞きます。今回のような、あまりにも乱暴な決定の宣告は、これまでの労使合意を全く無視しており、到底容認できるものではありません。
研究職場協議会は、自動車の危険運転と同様の場違いな「スピード感」の発揮に抗議し、両所属に対する廃止、独法化の方針の撤回を強く求めるものです。
神奈川県職員労働組合 研究職場協議会
2013年1月16日