「上海特急」監督:ジョゼフ・フォン・スタンバーグ
当時人気絶頂の女優マレーネ・デートリッヒがスタンバーグと組んだ「モロッコ」「間諜X27」に続く三部作の1本である。
北京発上海行きの「上海特急」に、「上海りりー」と呼ばれる女が乗り込む。彼女の元恋人の英国軍医、米国商人、中国人娼婦等が乗り合わせるが、列車はやがて何者かに乗っ取られてしまう。果たして彼らの運命は…。列車映画のジャンルとしてはヒッチコックの「バルカン超特急」と並ぶ作品と呼ばれている。
監督のスタンバーグは1894年にドイツ系ユダヤ人としてウイーンに生まれた。若くしてアメリカに移住し映画監督となった。ドイツに里帰りして撮影したのが「嘆きの天使」で、主演のデートリッヒと初めてコンビを組んだ。デートリッヒは1901年生まれで女優として渡米し、この「上海特急」で大スターの座を獲得する。ヒットラーは彼女の大ファンで、ドイツに戻るよう要請するがナチスを嫌った彼女は1939年にアメリカの市民権を得る。怒ったヒットラーはドイツでの彼女の映画の上映を禁止した。デートリッヒは第二次世界大戦中は前線兵士の慰問を続け、反ナチスの立場を貫いた。退廃的な美貌と脚線美で人気を得た彼女だが、芯の強い女優であった。(1932年 アメリカ)
【DVD発売中】
2013年1月12日