神奈川県緊急財政対策案に対する「県労連声明」
県緊急財政対策本部は9月27日、有識者で構成された調査会からの最終意見を受け、その対策案を公表した。
その内容は、2年間で1,600億円の財源不足を推計し、県有施設、補助金・負担金、人件費などに聖域を設けず徹底的に見直しをかけるものとなっている。
確かに、県の財政状況は厳しさが増しており、国借金の肩代わりである臨時財政対策債の発行など、財政制度上の問題により公債費は増大し、財政秩序の面からは看過できない状況にある。しかし、神奈川県の財政水準は、構造こそ硬直化しているものの、首都圏型の特徴である県税収入の割合も高く、全国の都道府県を見ても財政力はトップレベルといえる。
神奈川県における財政危機の根源は、国と地方との税財源配分や地方交付税制度、地方税制など税財政制度上・構造上の問題にある。よって、国への働きかけを行い、早急に税財政構造を改革することが、財政危機からの真の脱却方法であるが、この問題に対し、施設ごとの大幅な切り捨てや補助金の凍結・廃止、職員給与の切り下げなど、県民や職員の負担に偏重することは、問題の解決にはつながらない。
県労連は、これまでの財政危機の際にも、「県民サービスを極力低下させない」ことを基本に、目標を示した計画の下で職員給与を引き下げる緊急的な「協力」を決断してきた。
ところが、今回の対策案では「県民サービスに影響を及ぼす取組みであることから、職員に相応の負担を求める」としており、公務員の給与決定システムを無視した、一方的かつ不誠実な対応であると指摘せざるを得ない。
公務員給与の水準は、財政の良悪を理由にすることなく、中立的第三者機関が示す公民格差を尊重して決定されることは論を挟まない。よって今回のように、対策案文の記述において、あたかも県財政の悪化などによって「自動的」にその負担を余儀なくされるようなことは断じてあってはならない。
県労連は、今回の対策案が、県民や市町村との間で十分な対話と議論が行われた結果、福祉や教育などの県民サービスに影響を及ぼさないように再検討され、緊急財政対策の取り組みが、県と県民が一体になって進められることを強く求める。
職員給与の減額は、県民サービスを守るための最終的な手段として、緊急的かつ臨時的な「協力」として示されなければならず、合理的な理由の提示を前提に、2012県労連賃金確定闘争において、労使間の自主交渉・自主決着によって決めるべきであるという立場を貫き、全力で取り組む決意を表明する。
2012年9月27日
神奈川県職員労働組合連合協議会(県労連)
(県労連構成団体)
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2012年10月1日