(2013)県人事委員会報告に対する県職労声明
神奈川県人事委員会は10月15日、知事及び県議会議長に対し「月例給の公民較差は0.07%(298円)と僅差であることから給料表改定は見送る。期末・勤勉手当については民間との均衡がとれており改定は必要としない。給与制度の総合的見直しについては、人事院の報告の内容に留意するとともに、今後の国の動向を注視し、本県の実情を考慮して検討をすすめる。」とする2013年度の給与等に関する報告を行い、5年ぶりに給与の改定勧告を見送った。
8月の人事院勧告後、県職労は県労連(県職労のほか、神教組、神高組、公企労、自治労県職の5組合で構成)の仲間とともに、「県財政危機」や「国地方交付税削減」を理由とする4月からの4%、6%、7月からの7.77%、9.77%の給与減額措置が実施されていることを踏まえ、県人事委員会に対し、労働基本権代償措置として公平・公正、客観的な調査に基づく勧告を行うことを要請。県職労として1,114筆、県労連全体で24,195筆の署名とあわせ、職場の切実な声を届けてきた。
しかし、県人事委員会は、報告の根幹にあたる「結び」ではなく冒頭の「本年報告の基本的な考え方」の中で、「人事委員会の給与勧告制度は、公務員の労働基本権制約に対する代償措置としての機能を担っていることから、給与勧告制度の意義にかんがみ、民間準拠による適正な給与が確保されることが重要」と触れただけで、勧告制度を逸脱した給与減額措置に対する毅然とした姿勢をまったく示しておらず、第三者機関としての県人事委員会の機能と役割を放棄し、県・県議会、国・総務省指導に従う姿勢を事実上明らかにしたといわざるをえない。
こうした姿勢は、昨年度、県人事委員会自ら公民格差0.06%(△245円)と僅少にもかかわらず引下げ勧告をしたが、それ以上の0.07%(△298円)の公民較差にもかかわらず勧告を見送ったことにもあからさまに現れている。こうしたことは、断じて認めることはできない。
さらに県人事委員会は、人事院報告を追随するように給与制度の総合的見直しについて早急に結論を出すよう示している。
県人事委員会報告では、公務運営のなかで人材の確保・育成にふれているが、度重なる給与減額や退職手当の大幅な切り下げを余儀なくされている職員の実態を見ることなく、どのように実現していこうとするのか、その見識が疑われるところである。
県職員の賃金は、県関連労働者はもとより、県域の中小零細企業で働く労働者の賃金水準に大きな影響を与え、県内経済に与える影響は計り知れない。国会で「全ての国民が景気回復が実感できるようにしたい。労働者の賃金を引き上げたい。」という安倍首相のことばは、県人事委員会勧告を見る限り、全く絵空事といわざるを得ない。
県職労は、10月18日の副知事への要求提出を皮切りにはじまる賃金確定闘争において、賃金の底上げと諸手当の改善、均等待遇原則に基づく非常勤職員等の賃金・労働条件の改善、福利厚生水準の引き上げ、休暇制度改善、メンタル疾患対策強化などの要求を掲げ、県に働く職員の生活改善をはじめ、県下全ての労働者・県民の生活改善にむけ、県労連の仲間、神奈川労連の仲間とともに、全力あげ奮闘することを表明する。
2013年10月15日
神奈川県職員労働組合
報告の概要など、詳しい情報は、県職労情報1255号(学習資料のページ)をご覧ください。
2013年10月18日